介護タクシー事業とは、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)の通称で、事業を開始するためには一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)許可の取得が必要です。
ここでは、介護タクシーの開業について、開業までの流れについて、ご案内いたします。
1、介護タクシーの開業をお考えの方へ
個人、法人ともに、介護タクシー事業を行うことが可能です。介護タクシーは、車両1台からでも事業を始めることができ、比較的開業しやすいと言えるかもしれません。
しかし、介護タクシーは、福祉輸送事業限定の許可のため、一般のお客様を乗せることができません。通常のタクシーとは、全く異なるものであることに注意が必要です。
また、介護という言葉がついているため、勘違いしている方もいらっしゃるかもしれませんが、介護タクシーそのものに介護保険の適用はありません。
つまり、介護タクシーの運賃に介護保険は適用されず、利用者の全額負担となります。
ただし、介護タクシーの許可に加え、訪問介護などの介護サービス事業者としての指定も受けたうえで、ケアマネージャーの作成するケアプランに基づいて移送を行う際には、介護保険の適用を受けることができる場合があります。
この場合、通院等の際の乗降介助に介護保険が適用され、介護タクシー事業者は、移送の運賃と乗降介助の料金の両方を受けることができるため、通常の介護タクシー運賃より低く設定することによって、利用者の運賃負担を軽くすることができるだけでなく、他社との差別化を図ることができます。
介護タクシーの開業をするうえで、開業資金をどのように準備するか、営業所をどの地域に置くか、どのような利用者をターゲットにするか、車両や車庫はどうするか、などの検討が必要です。
訪問介護などの介護サービス事業者の指定を受けるためには、株式会社などの法人であることに加えて様々な要件を満たさなければなりませんが、前述のようなメリットがありますので、指定を受けるかどうかの検討も必要になるでしょう。
2、介護タクシーの開業までの流れ
介護タクシーの開業までの流れは、次のようになります。
①事業内容の検討、許可要件の確認
事業内容を検討し、介護タクシーの許可要件を満たしているかどうか確認します。
②書類の収集、申請書類の作成
申請に必要な書類の収集、作成をします。
③介護タクシー許可申請+運賃及び料金の認可申請
管轄の運輸支局へ申請書類一式を提出します。
④法令試験を受験
申請者(法人の場合は常勤役員のうち1人)が法令試験を受験し、合格しなければなりません。
法令試験は月1回の実施のため、不合格の場合は翌月に再受験となります。
⑤審査
法令試験の合格後、審査基準に基づき申請書の審査が行われます。
補正がない場合、約2か月で許可がおります。
⑥許可証の交付、登録免許税の納付
許可がおりると、許可証が交付されます。
交付後、登録免許税3万円を納付します。
⑦車両の検査・登録
車両の検査・登録を行い、事業用ナンバーを取得します。
⑧事業開始
諸手続きが完了し、運輸開始のための準備が整えば、いよいよ事業の開始となります。
なお、許可後6か月以内に運輸を開始しない場合、許可が失効してしまいますのでご注意ください。
⑨運輸開始届の提出
運輸開始後遅滞なく、管轄の運輸支局へ運輸開始届を提出します。
許可申請から事業開始まで、標準で約3~4か月かかります。
事業内容の検討、書類の収集・作成などの準備期間も別途必要となります。
なお、介護タクシーと訪問介護事業所等を合わせて開業する場合につきましては、介護タクシーの許可申請だけでなく、介護サービス事業者の指定申請も必要になりますので、許可申請と同時進行で、法人設立及び指定申請を行うことになります。
当事務所では、初回のご相談につきましては、無料で対応いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。