自社で一から就業規則を作成するのは難しいので、雛形の就業規則を参考にしたいと思ったとします。
インターネットで検索してみますと、簡単に就業規則の雛形・テンプレートをみつけることができます。
その雛形の就業規則をダウンロードして少し変更すれば、ある程度簡単に自社の就業規則を作成することはできるでしょう。
しかし、その就業規則は、その会社に適した就業規則になっているのでしょうか?
1、雛形の就業規則の問題点
雛形の就業規則は、会社の規模や業種に関係なく作成されたものもあれば、小規模企業向けや特定の業種向けに作成されたものもあります。
しかし、それらはあくまで雛形ですので、会社の規模、業種、実際の業務の内容など、個々の会社の状況を考慮して作成されたものではありません。
そのため、会社の実情にそぐわない規定が、雛形の就業規則にはあるかもしれません。
実情にそぐわないので、雛形の就業規則の規定とは違う運用をしていたとしましたら、労使間のトラブルの原因となってしまう可能性があります。
特に労働時間や休日の規定には注意が必要です。
「じゃあ、雛形の就業規則をダウンロードして、自社の状況に合うように変更すればいいじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、それを自社で行うのは難しいのではないでしょうか。
個々の会社の状況に合うように変更するためには、どの規定が会社の実情にそぐわなくて、その規定をどのように変更すればいいのか、判断できなければなりません。
雛形の就業規則は、会社の規模や業種に関係なく共通した事項を定めていますので、個々の会社の状況に合わせた規定等を追加・変更する必要もあります。
また、就業規則の規定一つ一つを理解したうえで運用しないと、労使間のトラブルの原因となってしまう可能性があります。
特に割増賃金や解雇・懲戒の規定には注意が必要です。
例えば、会社側が、割増賃金の計算方法について勘違いしているケースがよくあります。
雛形の就業規則には割増賃金の計算方法が規定されていますが、勘違いのまま規定とは違う計算方法で運用してしまいますと危険です。
2、社労士が作成する就業規則
社労士(社会保険労務士)に就業規則の作成を依頼するメリットは、次のようなものがあります。
①事業主様の考えや個々の会社の状況を反映した就業規則が作成できます。
事業主様との打ち合わせを重ねることにより、事業主様の考えや個々の会社の状況を確認・分析し、それらを反映した就業規則を作成します。
個々の会社の状況に合わせた就業規則ですから、労使間のトラブルを未然に防ぐことができ、従業員は安心して働くことができます。
②労務管理上の問題点や勘違いに気付き、対処することができます。
就業規則作成の打ち合わせのなかで、労務管理上の問題点や勘違いに気付くことができますし、事業主様の規定一つ一つに対する理解も深まります。
問題点等の対処をすることにより、労使間のトラブルを未然に防ぐことができ、従業員は安心して働くことができます。