就業規則の変更には、法改正に合わせて就業規則の一部を変更するケース、会社の経営環境により賃金や定年に関する規定など就業規則の一部を変更するケース、一から見直して就業規則を改定するケースなど、様々なケースがあります。
ここでは、就業規則変更の流れと注意すべき点について紹介いたします。
1、就業規則変更の流れ
就業規則変更の流れは、次のようになります。
①就業規則の変更内容の検討
法改正に合わせて変更するのであれば、法改正の内容を確認し、その法改正の内容に合わせて就業規則の条文の変更、追加、削除を検討します。
その他の要因により変更するのであれば、自社の現状を分析し、変更、追加、削除が必要な項目を検討します。
②就業規則の変更案の作成
就業規則の一部変更案や改定案を作成し、就業規則の変更について権限を有する決裁者(代表取締役など)の決済を受けます。
③就業規則の変更案について労働者側の意見を聴取
就業規則の一部変更案や改定案について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴取します。
この意見については、「意見書」に記載してもらいます。
「意見書」は、管轄の労働基準監督署へ就業規則変更の届出をする際に提出します。
④変更後の就業規則の届出、従業員への周知
管轄の労働基準監督署へ就業規則変更の届出をします。
就業規則変更の届出に必要な書類は、(1)就業規則変更届(2)意見書(3)変更後の就業規則になります。
変更後の就業規則を従業員に周知させます。
2、就業規則を変更するうえで注意すべき点
就業規則を変更するうえで注意すべき点は、その変更内容が、従業員にとって不利益な変更になるかどうかです。
労働契約法第9条には、就業規則を従業員にとって不利益な内容に変更する場合は、従業員の個別の同意が必要である旨、定められています。
つまり、就業規則を変更する際、従業員にとって不利益な変更である場合は、従業員の個別の同意が必要であり、従業員一人一人から「同意書」を書いてもらうなどの対応が必要になるということです。
ただし、労働契約法第10条では、従業員の個別の同意なしで、就業規則の不利益変更が認められるための要件を規定しています。
変更後の就業規則を従業員に周知させたうえで、次の5つの観点から就業規則変更の合理性の有無を検討し、合理性がある、つまり、就業規則の変更が合理的であるならば就業規則の不利益変更は認められます。
①従業員の受ける不利益の程度
②労働条件変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④従業員側との交渉の状況
⑤その他就業規則の変更に係る事情
合理性がない場合は、就業規則の変更は非合理的であるため、変更するには従業員の個別の同意が必要になります。